矯正歯科治療（歯列矯正治療）に関して多くの方から「抜歯の必要はありますか？」といった質問をいただきます。

 

多くの方がイメージされている通り、歯がきれいに並ぶスペースを確保するためには抜歯をしなければならないケースがあります。これを一般的に「抜歯矯正」といいますが、反対に歯を抜かず、それ以外の方法で歯がきれいに並ぶためのスペースを確保する「非抜歯矯正」という治療方法もあります。

 

では、矯正歯科治療を行う上で抜歯矯正と非抜歯矯正、どちらがいいの？と疑問に思う方も少なくないと思います。今回はそれぞれの治療について、その特徴とメリット・デメリット、そして歯科医院での判断基準をご紹介したいと思います。

 

 

①抜歯矯正について

 

■特徴

抜歯矯正とは、前述の通り「歯がきれいに並ぶスペースを確保するために抜歯を行う」矯正歯科治療の方法です。

抜歯は主に小臼歯で行い、優先順としては第二小臼歯（前から5番目の歯）を抜歯。もし、第一小臼歯が虫歯などで状態が悪い場合には、第一小臼歯（前から４番目の歯）を抜くこともあります。

 

■メリット

・抜歯をした方が綺麗に矯正できる場合が多い

抜歯治療は、歯を抜く場所や本数を調整することによってスペースの確保がしやすく自由度が高い治療方法です。また、抜歯で歯が並ぶスペースに余裕を持たせることで、唇や頬が突出してしまうのを防ぎ、美しい横顔を作ることも可能になります。

 

■デメリット

 

・ケースによっては矯正に時間がかかる

歯を抜いて多くのスペースを確保するということは、それだけ歯を移動させる距離が長くなるということでもあります。いきなり大幅に歯を動かすことはできないため、歯が移動する距離が長くなればそれだけ矯正期間も長くなります。

 

・顔貌の変化

抜歯矯正をすることで、抜歯前と比べて口腔内の面積が小さくなるため、人によってはほうれい線が深く出てしまい老けて見える、そういった顔貌変化の可能性があります。美容目的の一環で歯列矯正を希望される方にとっては、注意が必要です。

 

②非抜歯矯正について

■特徴

 

非抜歯矯正とは「歯を抜かずに、それ以外の方法で歯がきれいに並ぶためのスペースを確保する」矯正歯科治療の方法です。非抜歯矯正にはいくつかの方法があります。

 

・奥歯の移動

・歯列の幅の拡張

・歯をわずかに削って拡張

 

 

■メリット

 

・健康な歯を抜かなくてよい

永久歯を抜いてしまうと、二度と生えてくることはありません。こうした観点から自分の歯をなるべく残したいとお考えの方や歯を失うことへの抵抗があるという方は、非抜歯治療の方がいいでしょう。

 

※ただし、非抜歯とは「健康で問題のない歯を抜かない」という意味ですので、そもそも抜歯することの多い親知らずについては奥歯の移動に伴って抜くことになりますのでご注意ください。

 

・ケースによっては治療期間が短くて済む

非抜歯矯正は抜歯をしないため抜歯矯正と比べて歯の移動が少なくて済みます。あとはその他の状況（歯の生え方や生えている方向、並び方など）によっては治療期間が短く済むこともあります。

 

 

■デメリット

 

・顔貌の変化

非抜歯矯正は抜歯を行わずに歯全体の歯並びを整えるため、人によっては人中が伸びて見えたり、口唇閉鎖不全（唇が閉じない状態）が起こる可能性があります。美容目的の一環で歯列矯正を希望される方にとっては、抜歯矯正同様に注意が必要です。

 

・将来的に歯肉が下がりやすい・歯周病が進行しやすい

歯を抜かないということは、限られた狭いスペースにやや無理をして歯を並べることです。
このため歯茎に負担がかかってしまい歯肉が下がりやすくなったり、歯周病が進行しやすいといった問題が起こる場合があります。

 

 

・抜歯矯正より後戻りのリスクが高い

狭いスペースに無理に歯を並べてしまうと、歯の位置が安定せず治療後徐々に元の歯並びに戻ってしまうことがあります。これを後戻りと呼びます。

 

 

いかがでしたでしょうか。

このように抜歯矯正と非抜歯矯正にはそれぞれメリット・デメリットが存在します。 

 

また、どちらの矯正方法が患者様お一人おひとりにとって望ましい方法なのかを判断するために「Eラインの審査」を行うことで、歯科医院では一つの判断基準としています。

 

③Eラインの審査

「Eラインとはエステティックラインの略称」で、鼻先から顎先を結ぶ直線を指します。Eラインは美しい横顔の基準とされており、この直線と唇の位置によって理想的な顔貌（横顔）状態かを把握することができます。Eラインの検査診断のためにはセファロという矯正歯科専用の顔の骨格を調べるレントゲン装置を使用して頭部のX線写真を撮影し審査します。

 

そしてこのEラインの観点から、例えば口唇の突出感がある方の場合は抜歯矯正を行ったほうが良く、口唇の突出感がない方の場合は非抜歯矯正のほうが良い、というように一つ判断することができます。

 

例えば、もし口唇の突出感がない方に抜歯矯正を行った場合、ほうれい線が深くなってしまったり、口唇の突出感がある方に非抜歯矯正を行った場合、陣中が伸びて見えたり、口唇閉鎖不全（唇が閉じない状態）になってしまう等、顔貌にマイナス影響が出るリスクもあるため、単なる歯並びの矯正だけでなく美容目的要素の高い方には、注意点が多くあるのが矯正歯科治療（歯列矯正）です。

 

このため、例えばもしあなたが非抜歯矯正を希望したとしても、口腔内の状態や求める顔貌・口元によっては抜歯矯正が望ましかったり、逆もまた然りです。

 

矯正歯科治療をご検討されている方は、まずは一度歯科医院で矯正相談と詳細な検査・診断を受けることをお勧めします。

 

 

なお、伊東市の歯医者「栄光歯科医院」では、CTやセファロ、口腔内スキャナー（iTero）など各種精密機器を駆使した精密検査を行うことで患者様にとってより良い治療方法の立案とご案内、そして治療を徹底して行っています。歯やお口のことでお悩みでしたら、まずはどうぞ当院までご相談ください。

 

 

当院の矯正歯科治療について詳しく知りたい方は「矯正歯科ページ」をぜひご覧ください。
 

 

伊東市の歯医者『栄光歯科医院』

 

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